
MacにあってWindowsやLinuxに物足りないものがある.タッチパッド(トラックパッド)だ.
長時間のデスクトップ作業—
それは効率を求める一方で,操作感の心地よさも無視できない. MacBookの精密かつ直感的なトラックパッド操作に魅了されながら,WindowsやLinux環境ではそれに匹敵する製品が少ないという現実に,筆者は不満を感じていた.
Apple純正品は高価,他社製はレビューに不安.そんな中,Bluetoothと有線両対応で,しかも手の届く価格帯の製品を発見してしまった.
サンワサプライの振動機能(フィードバック)付きタッチパッド(400-MABTY201GM)だ.充電しながら使え,価格もセール価格で8500円程度と筆者の手の届く範囲. 本製品は公式にはWindows専用とされているが,筆者が普段使いしているZorinOS(Ubuntu)で使ってみた.
この記事では,有料ソフトを使用せず,コピペできるコマンドやGUIソフトを使用することで初心者にも優しいページを目指した. また,本記事は筆者の実機環境及びスキルに基づいた忘却録となっているため,すべての環境で再現できるとは限らないことに注意.
長時間のデスクトップ作業—
それは効率を求める一方で,操作感の心地よさも無視できない. MacBookの精密かつ直感的なトラックパッド操作に魅了されながら,WindowsやLinux環境ではそれに匹敵する製品が少ないという現実に,筆者は不満を感じていた.
Apple純正品は高価,他社製はレビューに不安.そんな中,Bluetoothと有線両対応で,しかも手の届く価格帯の製品を発見してしまった.
サンワサプライの振動機能(フィードバック)付きタッチパッド(400-MABTY201GM)だ.充電しながら使え,価格もセール価格で8500円程度と筆者の手の届く範囲. 本製品は公式にはWindows専用とされているが,筆者が普段使いしているZorinOS(Ubuntu)で使ってみた.
この記事では,有料ソフトを使用せず,コピペできるコマンドやGUIソフトを使用することで初心者にも優しいページを目指した. また,本記事は筆者の実機環境及びスキルに基づいた忘却録となっているため,すべての環境で再現できるとは限らないことに注意.
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目次
ファーストインプレッション
箱を開けると,デカい!薄い!軽い!と三拍子,声を上げてしまった.
今回購入したタッチパッドはサンワサプライのBluetooth,有線両対応モデル 400-MABTY201GM. BluetoothとUSB-Cの2つのインターフェースを備え,充電中でもBluetooth・有線のどちらでも使える上,他マウスと共存もできる柔軟さが魅力的.
タッチパッド上の各アイコンや3本指,4本指操作に対して振動フィードバックがあるため,直感的でわかりやすい操作感を実現している. もちろん,好みに応じてフィードバックはOFFにも可能.
AppleのMagic Trackpadのような圧力検知こそないが,「タップでクリック」や2本指での右クリック,3本,4本指でのジェスチャー操作にも対応している. 表面はマットでサラサラしており,ツルツルのMagic Trackpadよりは指の滑りが悪いが,指が引っかかることはなかった.
広い操作面積はジェスチャーとの相性が良く,作業効率を高めてくれる. 各アイコンには目印となる突起等はないものの,デザインがすっきりしており,慣れればノールックでの操作も可能であると感じた.
今回購入したタッチパッドはサンワサプライのBluetooth,有線両対応モデル 400-MABTY201GM. BluetoothとUSB-Cの2つのインターフェースを備え,充電中でもBluetooth・有線のどちらでも使える上,他マウスと共存もできる柔軟さが魅力的.
タッチパッド上の各アイコンや3本指,4本指操作に対して振動フィードバックがあるため,直感的でわかりやすい操作感を実現している. もちろん,好みに応じてフィードバックはOFFにも可能.
AppleのMagic Trackpadのような圧力検知こそないが,「タップでクリック」や2本指での右クリック,3本,4本指でのジェスチャー操作にも対応している. 表面はマットでサラサラしており,ツルツルのMagic Trackpadよりは指の滑りが悪いが,指が引っかかることはなかった.
広い操作面積はジェスチャーとの相性が良く,作業効率を高めてくれる. 各アイコンには目印となる突起等はないものの,デザインがすっきりしており,慣れればノールックでの操作も可能であると感じた.
目標
前提として,今回使用するタッチパッドは公式にWindows専用と記載がある通り,ZorinOS(Ubuntu)での動作保証はされていない.
ここでは実現したい操作を列挙し,LinuxでどこまでMacに近づけるかある程度妥協しながらも可能性を探る.
ここでは実現したい操作を列挙し,LinuxでどこまでMacに近づけるかある程度妥協しながらも可能性を探る.
PC環境を整える
Linuxではジェスチャー操作に対応しないことが多い.
ここではLinuxでもジェスチャー操作に対応するため,
マルチタッチジェスチャープログラム「Touchegg」とToucheggの設定をGUIで行う「Touche」をインストールする.
また,競合する拡張機能を停止させる.
「Touchegg」と「Touche」はX11ウィンドウシステム向けに開発されたツールであり,Waylandセッションでは動作しないことがある.
「Touchegg」と「Touche」はX11ウィンドウシステム向けに開発されたツールであり,Waylandセッションでは動作しないことがある.
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以下のコマンドを実行し,「Touchegg」をインストールする.
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以下のコマンドを実行して「Touchegg」がバックグラウンドで実行されていることを確認する.
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以下のコマンドを実行して「Touche」をインストールする.
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競合する拡張機能を停止する. 「Extension Manager」を起動し,「X11 Gestures」や「Gesture Improvements」などのジェスチャーに関する拡張機能をオフにする.
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システムの設定を開き,以下のようにタッチパッドに関する設定項目が追加されているか確認する.
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アプリ一覧から「Touche」アプリを起動できれば完了.
ジェスチャーと接続の設定
システムの設定や「Touche」を使ってジェスチャーを設定する.タッチパッドの充電と動作確認も兼ねて,まずは有線でPCと接続し,基本的な操作ができることを確認する.
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感度の変更システムの設定を開き,「マウスとタッチパッド」項目からタッチパッドの速度を変更する.
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2本指での非ナチュラルスクロールシステムの設定を開き,「マウスとタッチパッド」項目からナチュラルスクロールをオフにする.
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2本指または3本指左右で戻る,進むジェスチャー「Touche」では2本指ジェスチャーは設定項目がなく,「Global gestures」項目では3本指は予約済みで設定できないため,各アプリで設定する. ブラウザを中心に戻る,進む操作が必要なアプリ単体で設定する.
下図はVivaldiブラウザを指定して3本指左右ジェスチャーを登録している. アプリの指定は,指定したいアプリを起動し,「Touche」左下の+マークをクリック後,指定するアプリのウィンドウをクリックする.
他アプリでも「戻る」「進む」操作([Alt][←]や[Alt][→])をショートカットキーとして割り当てれば操作効率上がるかも. -
2本指ピンチイン·ピンチアウトで拡大縮小ジェスチャー「Touche」を開き,「Global gestures」項目の「Pinch」タブから設定する. 「Repeat command」をオンにすることで,ジェスチャー操作中はコマンドを連続入力にすることができる.
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4本指上でアクティビティ画面表示(Macのミッションコントロール)「Touche」を開き,「Global gestures」項目の「Swipe」タブから設定する. 下図ではショートカットキーを登録している.
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4本指下でアプリケーションメニュー(アプリ一覧)「Touche」を開き,「Global gestures」項目の「Swipe」タブから設定する.
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4本指左右でワークスペース(仮想デスクトップ)切り替え「Touche」を開き,「Global gestures」項目の「Swipe」タブから設定する.
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3本指でドラッグ or 3本指上下でアプリウィンドウ切り替え「Touche」では「Global gestures」項目の3本指Swipeは予約済みのため,各アプリごとに「Swipe」タブから設定する. ただ,3本指ドラッグは他の3本指ジェスチャー(「戻る」や「進む」)と競合する.
筆者は誤爆防止の為,慣れるまで未設定. -
Bluetooth接続本体の電源をONにし,ペアリングボタンを長押ししてペアリングする.
筆者の環境では接続自体はできるものの,キーボードとして認識され,操作が反映されなかった. 実機環境はデスクトップPCだが,「Archer TX20E」というアダプターを後付しているためかも.
結論
筆者のLinux(Ubuntu)環境では...
- アプリなしでも基本的な操作はできる.マウスポインタの移動,クリック,2本指の右クリックなど.次の拡張機能のおかげかも.
- 拡張機能で3本指や4本指の操作ができる.アクティビティ画面表示やアプリ一覧表示,ワークスペース切り替え等ができる.
- 「Touchegg」や「Touche」を導入すると,3本指,4本指での操作を任意のアプリごとに割り当てることができる. ただし,ウィンドウシステムが「X11」限定.また,先の拡張機能と競合することがあるため,一部の拡張機能をオフにする必要あり.
- Bluetooth接続は接続自体はできるが,キーボード認識され,操作が反映されない. 「Archer TX20E」アダプターが原因かも?
- 思っていたよりも面積がデカいため,たまに意図しない操作が入力される.またタッチパッド上のアイコン操作など慣れが必要.
- 本体が見た目の割に軽いが,ゴム足がしっかりしているのか使用中のがたつきやジェスチャー操作で本体ごと移動することはなかった.
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振動フィードバックは便利だが,多指ジェスチャー(TapもSwipeもPinchも)でも振動するのは好みが分かれる.振動機能自体をオフにはできる.
振動フィードバックの感触はAppleのMagic Trackpadでは「コンッ」というクリック感だが,本製品では「ヴヴン」というモータが回る感じ. - 本体のLEDの明るさが調整できないため,部屋の明るさによっては眩しく感じるかも.筆者はほぼ真っ暗の部屋の中では多少眩しく感じた.
ウィンドウシステムに「X11」を使っていて「Touchegg」や「Touche」を導入できる環境であれば筆者自身は「使える」と感じた.
ただ,AppleのMagic Trackpadほど高精度に操作するには慣れが必要なため,人によっては多ボタンマウスのほうが使いやすいと感じるかも.